\ アンプの企画
1.ヒアリング環境と最大出力
2.音質と出力管
3.安全性と長寿命化の方針
4.出力方式
5.NFB
6.ドライブ回路
7.位相反転回路
8.電圧増幅回路
9.トータルゲイン
10.電源回路
11.NFB回路
第8章 アンプの企画
はじめに
・アンプの音の表現について過去の事例の一部を紹介する。
・本書の目的を達成するために要素回路の選択肢と得失の比較評価を行なう。
・企画の手順はいろいろある。その一例を示す。
8.1 アンプの音を決める要素
・アンプの企画には音への好奇心や求める音のイメージが必要であるが文章による客観的な表現は困難である。
しかしヒアリング報告のないアンプの製作記事ほど物足りないものもない。
従って過去の製作記事で実際に使用された表現を例示することにする。
@音の表現
低音
中音
高音
全体
A出力管
直熱三極管
傍熱三極管
三結多極管
Bシングルかプッシュプルか
・「シングルの華麗さ」、「プッシュプルの端麗さ」。黙って聴かせればおそらく大多数の人はシングルを取るでしょう。(武末一馬、出典?)
CCRDかTRDか
・NFBよりも先にトランスドライブかどうかを決定する。
電気特性か生々しさか
D無帰還かNFBか
素直さか電気特性か
8.2 アンプの基本特性を決める要素
@最大出力電力を大きくする
Aゲインを大きくする(小さな最大入力電圧で最大出力を得る。)
B歪率を小さくする
C周波数特性を良くする
D出力インピーダンスを小さくする
DFを大きくする。
E入力インピーダンスを大きくする
F雑音・ハムを低減する
Gクロストークを小さくする
H基本特性間のトレードオフ
最大出力電力と歪率
ゲインと周波数特性
8.3 有名アンプの回路構成
@オルソンアンプ
Aウィリアムソンアンプ
Bリーク型アンプ
TL−10型
Cミュラード型アンプ
Dアルテック型アンプ
1659A型
Eまとめ
8.4 NFBの採否の検討
(1)NFBの得失
@NFBの長所
音質面
特性質面
ANFBの短所
音質面
特性質面
BNFBの相場
(2)NFBの量
・NFBはゲインに余裕があるだけしかかけることは出来ない。
@無帰還とするケース
A軽度のNFBをかけるケース
無帰還で設計してゲインと安定性の許す範囲内で軽くNFBをかける。
B強度のNFBをかけるケース
最初から強度のNFBを前提とする回路設計を行ない高性能化を狙う。
8.5 安全性と長寿命化の方針
@部品の規格に対する余裕
A市場に部品の在庫があること
B出力管の価格が極端に高くないこと
8.6 出力回路の企画
(1)必要な最大出力電力の大きさ
@部屋の広さから
A使用するSPとの相性から
(2)SかPPか
@S出力回路の特徴
Sの音:繊細さ
APP出力回路の特徴
PPの音:迫力
B結論
(3)A級PPかAB級PPか
@A級PP動作の特徴
AB級PP動作の特徴
BAB級PP動作の特徴
C結論
最大出力電力の観点から
歪率の観点から
(4)自己バイアスか固定バイアスか
@自己バイアスの特徴
自己バイアスの欠点
出力管保護に有利である
A固定バイアスの特徴
固定バイアスの必要性
専用のバイアス電源回路が必要となる
出力管保護を確実にする必要がある
BAB級における自己バイアス電圧の設定時の問題点
C結論
8.7 ドライブ回路の企画
(1)ドライブ回路の選択肢
@ドライブ回路の目的と種類
ACR結合ドライブ回路
音の観点
最大出力電圧の観点
低インピーダンスドライブの観点
ゲインの観点
周波数特性の観点
NFBの観点
Bトランスドライブ回路
音の観点
最大出力電圧の観点
歪の観点
ゲインの観点
周波数特性の観点
NFBの観点
ドライブトランスの選択
CKFドライブ回路
低インピーダンスドライブの観点
歪の観点
ゲインの観点
周波数特性の観点
NFBの観点
D結論
(2)ドライブ管の選択
@最大出力電圧の確保
A低rpであること
8.8 位相反転回路の企画
(1)位相反転回路の選択肢
@位相反転回路の目的と種類
Aトランス位相反転回路
音の観点
出力電圧のバランスの観点
最大出力電圧の観点
歪の観点
ゲインの観点
周波数特性の観点
NFBの観点
作り易さの観点
位相反転トランスの選択
BPK分割位相反転回路
音の観点
出力電圧のバランスの観点
最大出力電圧の観点
歪の観点
ゲインの観点
周波数特性の観点
NFBの観点
作り易さの観点
位相反転トランスの選択
Cカソード結合型位相反転(KC反転)回路
音の観点
出力電圧のバランスの観点
最大出力電圧の観点
歪の観点
ゲインの観点
周波数特性の観点
NFBの観点
作り易さの観点
位相反転トランスの選択
D結論
(2)位相反転管の選択
8.9 電圧増幅回路の企画
(1)電圧増幅回路の選択肢
@電圧増幅回路の目的
A電圧増幅回路の選択肢
B動作インピーダンスの方針
低ZL動作の長所
高ZL動作の長所
Cカソード接地電圧増幅回路点
ゲインの観点
入力インピーダンスの観点
最大出力電圧の観点
歪の観点
周波数特性の観点
OPTの低域COFの1/6〜1/7程度に設計する。
OPTの高域COFの6〜7倍程度に設計する。
最大入力電圧(入力感度)
低雑音の観点
D結論
(2)電圧増幅管の選択
8.10 トータルゲインの確保
(1)アンプのゲイン配分
@無帰還アンプのゲイン配分
ANFBアンプのゲイン配分
(2)増幅段数の検討
Bゲイン増加の選択肢
電圧増幅回路のゲインを増やせないか
A(高Rp)>A(低Rp)
ドライブ回路のゲインを増やせないか
A(TRD)>A(CRD)>A(KFD)
PPの場合位相反転回路のゲインを増やせないか
A(TRI)>A(KCI)>A(PKI)
どうしてもだめな場合に電圧増幅回路を一段増やす
C無帰還アンプの増幅段数
無帰還アンプでゲインが不足する場合
ローμ管で多段数
DNFBアンプの増幅段数
NFBアンプでゲインが不足する場合
ハイμ管で少段数
(3)電圧増幅管の選択
Eローμ・低rp管
Fハイμ・高rp管
8.11 電源回路の企画
(1)シリコンダイオードか整流管か
(2)C入力かL入力か
@電圧を高く取れるCI
A電流を多く取れるLI
(3)ブリッジ整流かセンタータップ整流か
(4)電源トランスの選択
@B端子の二次電圧、電流容量、形状(CTの有無)
AC端子の有無
BA端子の電圧と電流容量と端子数
(5)電源回路の特性改善
@ハムノイズを低減させる
平滑回路を強化する
ヒーターを直流点火する
A電圧変動を小さくする
Riの低いPWTを選ぶこと
電圧調整用ΔRを大きくしない
Bクロストークを小さくする
並列給電にする
電源を2モノラル構成にする